加速するモバイルインパクト: アジアのデジタル環境の今

世界最大のモバイルマーケットとなったアジア。この地域の人々は、生活のあらゆる場面でスマートフォンを活用しています。スマートフォンから、生活者のニーズを理解し、マイクロモーメントを活かしたマーケティングを行うためのインサイトをご紹介します。

これまで、マーケターはアメリカをデジタルマーケティングの基準としてきました。しかし近年状況は大きく変化しています。インドのネット人口はついにアメリカを追い越し、中国に並んで世界 2 位になりました1。また世界のデジタル広告全体の 34% をアジアが占め、トップであること2からもわかるように、今やこのエリアはデジタルの中心であり、モバイルがその原動力です。

Google は 調査会社 IPSOS とともにアジア地域の人々の「マイクロモーメント」について調査を行いました。

このエリアで際立つのがスマートフォンの普及率です。スマートフォン普及率トップ 10 の市場のうち、4 つがアジア地域に存在します。シンガポールと韓国はともに 91% で二国とも 4 位、スマートフォン所有率がアメリカと同等またはそれ以上の国が 9 か国もあります。

モバイル化が進むこの地域で、変化する生活者行動を見極めることができれば、アジアだけではなく、世界のマーケティングの未来を切り拓くことができるでしょう。調査結果と共にをもとに、アジア市場の人々へのマーケティングにヒントとなる 4 つのインサイトをご紹介します。

インサイト #1: 人々は「今すぐ欲しい」

アジアの生活者は意思決定が迅速です。ベトナムとタイでは、スマートフォンユーザーの 97% が、オンラインでの情報収集により数年前に比べ購入決定が迅速になったと回答しました。スピードだけでなく、質も向上しました。インドのスマートフォンユーザーの実に 96% もが、オンラインでの情報収集によって数年前より的確に意思決定できるようになったと答えています。この数字はアメリカではわずか 59% です。

生活者が情報を求めてスマートフォンを手に取る瞬間こそ、ブランドがメッセージを届けるチャンスです。人々はただ情報を探すだけではなく、意思決定も行っているのです。インドネシアのスマートフォンユーザーの 77% が、デバイスで検索した後に、店舗や関連サイトを訪れたことがあると回答していますが 、イギリスではこの割合は 64% です3。また、スマートフォンでリサーチした後に商品の購入を検討したユーザーは、イギリスでは 54% しかいなかったのに対し、インドネシアでは 69% もあります 3

マーケティングの心得 : 備えを怠らない 人々は購入までのあらゆる段階で意思決定を行っています。私たちも気を抜くことはできません。コンシューマージャーニー内の重要なマイクロモーメントを探り、人々のニーズを捉える戦略が必要です。

たとえば、食品大手のケロッグ は、Google トレンドの検索動向から、インドで朝食レシピの検索が増えていること注目し、コーンフレークを使った朝食レシピに関するコメディドラマを 100 エピソード制作しました。レシピに対するマイクロモーメントをとらえたこの取り組みは、商品検討 12%、売上 20% の上昇につながりました。

インサイト #2: 「瞬間」を捉えることがブランドスウィッチの好機

アジアでは、新しいブランドを積極的に試す傾向があります。ポイントはその瞬間をとらえることです。日本のスマートフォンユーザーの 96% は、ネットでリサーチする最初の段階では購入するブランドを決定していません 。つまり、検索を開始した直後のユーザーに対しては、ブランドからのアプローチがより効果的です。

たとえすでに特定のブランドを意識していても、適切なタイミングで適切な情報が届けられれば、考えが変わる可能性は十分あります。香港のスマートフォンユーザーの 80% が、決定的な瞬間にスマートフォンに必要な情報が表示されたことで、それまで検討しなかったブランドの商品を購入した経験があります。一方、アメリカでは、同様の回答をした生活者は 3 人に 1 人でした 。

マーケティングの心得: 重要な瞬間を見極める アジアの生活者が新しいブランドに対し寛容的だとはいえ、その場を見極めなければ選ばれません。必要なことは極めてシンプルです。マイクロモーメントの瞬間を逃さず、自社ブランドが該当するカテゴリに関するモバイル検索に対し、確実に届けたい、かつ、ユーザーにとって有益な情報を届けることです。

Mytour Vietnam(マイツアー ベトナム)が行ったマーケティングは、旅行にまつわるモーメントに確実に必要な情報を届ける、関連する検索クエリを全て洗い出し、新規トラフィックの獲得やコンバージョン率の向上に成功したのです。

インサイト #3: 選ばれるのは有用な情報(とそれを発信するブランド)

「有用な情報やサービスを提供する」ブランドこそがアジアの人々に好まれることは間違いありません。フィリピンではスマートフォンユーザーの 84% が、ハウツー動画コンテンツを提供している企業の商品を購入する可能性が高くなると回答しています。一方、アメリカではこの回答は 48% にとどまります 。また、インドとインドネシアをはじめアジア全域の 9 つの市場で、60% 以上のスマートフォンユーザーが、モバイルサイトやアプリの情報が現地向けにカスタマイズされていれば、商品を購入する可能性がより高まると回答しています。

有益な情報を的確に示すと、売上という形につながりやすいこともアジアの特徴です。インドネシアのスマートフォンユーザーの 92% は、モバイルサイトやアプリでスムーズに疑問を解決できた場合、商品を購入する可能性が高まると答えています 。またインドでは、スマートフォンユーザーの 87% が、スムーズに買い物ができるモバイルサイトやアプリが用意されていれば、購入の可能性が高くなると回答しています 。

マーケティングの心得: 広告であっても、ユーザーに有用な情報を提供せよ ブランドへの愛着や信頼を築くためには、人々のニーズに応える体験の提供が大切です。近隣のビジネスや商品を探すユーザーの店舗案内、実際の作業に役立つハウツー動画、アプリやモバイルサイトでのスムーズな検索や購入を促す導線設計といった基本は必ずおさえましょう。

たとえばマレーシア最大の自動車売買情報サイト Carlist.my(カーリスト マレーシア)は、売り手には売りたい車の情報を掲載しやすいよう、そして買い手には目的に合った商品を見つけやすいよう、UI を変更しました。親指 1 本で操作できるナビゲーションデザインを導入し、注目情報をトップページに表示、さらにカスタム検索機能も提供したことで、Carlist.my のモバイル トラフィックは 934% 増加、モバイルでのリード獲得数も 354% 増加しました。

インサイト #4: モバイルは、実店舗の価値も高める

モバイルの浸透により、人々は気軽に、店舗へのルート検索や電話などの実店舗ビジネスにつながる行動を取りやすくなっています。特にインドとシンガポールではこの傾向が顕著で、スマートフォンユーザーの 88% が店舗を検索し、訪れたことがあると回答しています。多くの生活者がスマートフォンを持つようになったアジアでは、オンラインとオフラインの境界が消えつつあります。

モバイルの効果は、店舗への誘導だけではありません。商品購入までの体験を様々な形でサポートします。ベトナムではスマートフォンユーザーの 57% に、ブランドからのメッセージをスマートフォンで見て店舗に足を運んだ経験があり 、店内でもスマートフォンで情報を参照するユーザーは 95% もいます 。情報の発見から購買意欲の醸成、そして購入に至るまで、アジアの消費者はあらゆる段階でモバイルを活用しています。

マーケティングの心得: シームレスであれ 人はあるデバイスから異なるデバイスへ、そして実店舗へとシームレスに移動します。それぞれのプラットフォームを繋ぐスムーズな体験を提供しましょう。その上でスクリーンやチャネルをまたいだ効果測定を行えば、購入ファネルの各段階におけるマーケティング効果を把握することができます。

セブン&アイ・ホールディングスは Google の来店コンバージョン機能を利用して、カスタマージャーニー全体におけるモバイルの重要性を認識しました。デジタル広告が来店数に及ぼす影響についてのデータを分析した結果、モバイル広告による来店客数は PC への広告よりも 44% 増加、しかも費用は 40% も少なかったのです。

今やアジアのマーケティングが世界をリードする時代

生活者は、マイクロモーメントの瞬間に、最適な情報を届けてくれるブランドを欲しています。データが如実に示すとおり、生活者行動の変化に関して、特にモバイルではアジアが世界の最先端であり、その瞬間にニーズを満たすことができるブランドは大いに成功します。2017 年にはモバイル広告投資がもっとも高いエリアになると予想されるアジア2。アジアのマーケティングが飛躍するときはすぐそこまで来ています。

出典

  1. Mary Meeker「Internet Trends 2016 - Code Conference」(2016 年 6 月)
  2. eMarketer「Worldwide Ad Spending: The eMarketer Forecast for 2016」(2016 年 4 月)
  3. Google / IPSOS「Consumers in the Micro-moment Survey」(2015 年、EMEA)
Simon Kahn

Google Asia Pacific 最高マーケティング責任者

Think with Google 日本 ニュースレター

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