メーカーと流通の新たな販促の形: 味の素社の事例より

小売店は、メーカーにとって生活者に自社の商品を実際に手に取ってもらう必要不可欠な場です。店頭を盛り上げることの重要性は、販促活動だけでなく広告活動においてもかねてから認識されています。しかし、多種多様な情報が提供され、生活者が自分なりの判断基準で商品を選ぶ買物の現場である小売の最前線においては、ただ「誰もが知る会社の商品である」、「テレビ CM がたくさん放映されている」というだけでは、優先的な棚割りや目玉商品の取り扱いは必ずしも約束されません。

メーカーにとっては、顧客ニーズに応えて商品の魅力化を図りつつ、同時に店頭への流入にもつながり、さらには小売店からも支持される新たな発想を求められる時代となっています。

この課題に対するアプローチのひとつとして、今回は調味料最大手の味の素株式会社 ( 以下 、味の素社 ) のペースト状中華万能調味料「Cook Do® 香味ペースト」(以下、「香味ペースト」) の販促活動に注目してみましょう。

担当広告代理店の電通は、従来のテレビ広告やマストバイキャンペーンとは全く異なる、オンライン動画広告を提案、味の素社を通して小売店舗に店頭支援施策・動画チラシを提案し、実際に展開しました。さらに電通は一連のプロジェクトにおけるキーワードとして、「生活者に寄り添う」、「流通に寄り添う」、「エリアに寄り添う」の 3 つを設定しました。

1.生活者に寄り添う
レシピ動画に対するニーズの高まりをとらえて香味ペーストを使ったレシピ動画フォーマットを採用。香味ペーストの訴求課題である、「いろいろな料理に使える」という側面について理解を高めつつ、同時に「簡単」、「時短」、「これだけ」という商品の持つ複数の魅力も訴求。

2.小売業・流通に寄り添う
それぞれのタイミングごとに各小売店が販売したい商品を把握し、香味ペーストと共にその商品を使用したメニュー提案を動画で展開。また店頭においても、その商品と香味ペーストを活用した関連メニューの販売を行う。

3.エリアに寄り添う
お店の商圏とターゲット層に合わせた広告配信。

では、9 つの小売業態と協業して制作・配信した動画チラシのうち、スーパーマーケット『ライフ』で展開したクリエイティブ動画を見てみましょう。

新たな試みでしたが、実際の結果もまた特筆に値するものでした。ライフにおいては、動画広告配信後、「香味ペースト」の売上が前年比 587% と大幅に増加。また「ライフ スターセレクト ベーコン」の売上も前年比 122% と伸長し、メーカーおよび店舗双方の売上増に大きく貢献したことがわかりました。

今回の販促活動については、対象となる小売企業からの評価が非常に高く、実施した 9 つの小売業態のうち、ほぼすべての企業が 2 回目の実施を決定、さらに多くの企業に向けた展開も予定されるなど、次のアクションへの動きが加速しています。

メーカーやマーケティングパートナーである広告会社にとって、商品の魅力を訴求すると同時に、生活者と商品の接点である店舗をいかに盛り上げるか、という課題の重要性は増す一方です。今回の施策からもわかるとおり、生活者のニーズ、流通のニーズ、商圏を意識したマーケティング展開が回答のひとつになると考えられます。課題の解消に向けたもうひとつの重要なポイントは、新たな広告テクノロジーの採用だけではなく、今回紹介した動画チラシのアプローチのように、既存のデジタル広告手法を活用する際の発想の転換もその答えになり得るということです。

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