機械学習を活用したマーケティングで利益を最大化‐一休

以前掲載した H.I.S. の記事では、データドリブンアトリビューション( DDA )自動入札を活用し、旅行検討の初期段階にある生活者のマイクロモーメントを捉えて成果を挙げた例をご紹介しました。今回はそこから更に一歩進め、高級宿泊施設予約サイトの運営を手がける一休が、コンバージョンだけでなく、Google アナリティクスから把握できるトラフィックからサイト内行動など、全ての顧客データを一気通貫で活用しながらデータドリブンアトリビューションを導入し自社の利益( ROAS )を KPI として可視化し、最大化した例をご紹介します。

広告投資による経営指標への貢献 ( = 利益 ) を可視化する

ホテル予約サイトの一休は、これまでも広告運用部門のインハウス化とキーワード自動入札に代表されるテクノロジーの導入を積極的に推進し、マーケティングの革新に挑んできました。

その活動の一環として、マーケティング投資の利益貢献(ROAS)を明確にすべく、利益を KPI として設定しました。しかしAdWords 上の計測数値と、一休.com の管理ツール(Google Cloud Platform BigQuery)がそれぞれ異なったデータを参照していたため、互いの数値が矛盾する結果となりました。そこで一休は、矛盾を軽減するために Google アナリティクスのデータを AdWords に連結することを試みました。同時に Google アナリティクス上に設定している自社のデータベースを AdWords に連携し、顧客データベースを活用して広告出稿の利益への貢献度を可視化するという高度なマーケティング活動を実現しました。Google アナリティクスと AdWords の連携は、まだ他社の前例が少なく手探りの状況ではありましたが、これにより日々の利益状況を可視化できたのです(下図参照)。

図:一休が正しい「 利益 」を可視化するために行った社内情報インフラの整備

機械学習を活用して利益を拡大

マーケティング投資と利益に対する貢献とを関連づけたことで、マーケティング活動を可視化できたため、動的検索広告を活用した広告配信強化や、データドリブン アトリビューション(DDA)の導入などの新たな施策を積極的に実行できるようになりました。

DDA では、あらかじめ設定されたルールに基づく従来型の自動化ではなく、コンピュータがパターンから能動的に学ぶ機械学習を採用しており、コンバージョンに至ったユーザーと至らなかったユーザーの経路を比較して、リアルタイムな自動入札単価調整の自動化が可能です。さらにGoogle アナリティクスと連携することで、スマートリストを活かしてさまざまなデータ( 位置情報、端末、ブラウザ、参照 URL、セッション継続時間、ページ閲覧深度など )からコンバージョンする可能性の高いユーザーを見極め、該当ユーザーに対して適切なメッセージを届けることが可能です。

動的検索広告と DDA を組み合わせた試みにより、同社は以下のような成果を上げました。

  • キーワードの多様化( キーワードの種類を 65% 増加、下図参照 )

    図:動的検索広告と DDA 導入前後でのキーワード出稿の変化( と動的検索広告のキーワード貢献 )

    導入前: 2 月13 日 - 2 月 19 日, 2017年
    導入前: 2 月27 日 - 3 月 5 日, 2017年

  • 検討の初期段階にあるユーザーの獲得に成功し、コンバージョンを 12% 増加( 下図参照 )

    図:動的検索広告と DDA 導入前後でのコンバージョン数(予約ホテル数)の変化

    導入前: 2 月13 日 - 2 月 19 日, 2017年
    導入前: 2 月27 日 - 3 月 5 日, 2017年

  • Google アナリティクスと AdWords のデータ連携により、個々のコンバージョンがどの程度最終 KPI である利益に貢献しているのか、正確に可視化することに成功。その結果、動的検索広告とDDA の導入前後で利益が 17% 伸びており、顧客データと動的検索広告、DDA のすべてが連動したことで、マーケティング活動が会社の利益に大きく貢献したことを可視化できました( 下図参照 )。

    図:動的検索広告と DDA 導入前後での利益( ROAS )変化

    導入前: 1 月23 日 - 2 月 12 日, 2017年
    導入前: 2 月27 日 - 3 月 19 日, 2017年



    上記を受けて同社は、他社の広告ソリューションや別サービスも含め、同一の条件下でどの程度利益に対し貢献できているかを可視化し、さらに継続的にマーケティング投資の最適化をすすめる予定です。

考察

今回の一休の取組を通じて確認できた内容を、考察としてまとめます。

・マーケティング投資を経営指標( 利益 )で評価する

テクノロジーの進化により、多様なマーケティング施策が可能になりました。だからこそ、自分たちのマーケティング活動は、本当に自社のビジネスの最大化につながっているのか、改めて確認すべきです。今回取り上げた一休では、 AdWords と Google アナリティクス のデータを連携させることで、マーケティング投資がどの程度利益に貢献したか可視化することに成功しました。

・検討初期段階の生活者にもメッセージを届ける

もちろん従来のコンバージョンに至ったラストクリックは重視すべきです。しかし同時に、購買経路が複雑化した昨今、さらに顧客ベースを増やすには、より上流の検討初期段階の生活者に向けてアプローチすることが大切であり、今やそれが可能となっています。

・機械学習を活かしたマーケティングを導入する

一休が導入した DDA や Google アナリティクスは、あらかじめ設定されたルールに基づく従来型の自動化ではなく、コンピュータが能動的にパターンから学ぶ機械学習を採用しています。マーケティング目標が明確な場合、こうしたマーケティングソリューションの導入により、人間では把握することが不可能な膨大なシグナルを活かした最適化が可能になり、飛躍的に成果を向上させることが期待できます。