スマートフォンが変えた旅行予約体験

世界的な旅行人口は年率 3.9% で上昇し、旅行業界は成長し続けています。一方、近年旅行業界にとって、大きなインパクトをもたらしたのが、スマートフォンの世界的な普及です。今回は Google で行った調査から、旅行業界のマーケターの方々を対象に、このスマートフォンの普及が変えた旅行体験について、「インバウンド」、「アウトバウンド」の両方に当てはまる 3 つ大きな変化をご紹介したいと思います。

スマートフォンの登場は、旅行体験をどう変えたのでしょう。旅行業界のマーケターの方々を対象に、「インバウンド」および「アウトバウンド」双方に当てはまる 3 つの大きな変化について、Google で行った調査をもとにご紹介します。

  1. 「SNS 映え」を意識した目的地の決定
  2. スマートフォンでの調査や予約の普及
  3. 旅行先に到着してからの調査の普及

1.「SNS 映え」を意識した目的地の決定

スマートフォンの普及は、旅の目的地を決定するうえで決定的なインパクトとなりました。旅先で撮った写真をスマートフォンから SNS に簡単にアップロードできるようになり、アップロードされた写真を SNS 経由でいつでもスマートフォンで見ることができるようになったのです。これにより生活者の行動も、「SNS 映えを意識した旅行先の決定」という形で変化しました。

Google 検索のデータによれば、現在、「SNS 映え」や、それに類する英語の検索ボリュームは日本やアメリカで急激に伸びています。これらの単語を検索する人が同時に検索する内容として、「食べ物」などより、「旅行先の都市」といった観光関連の情報が日本でもアメリカでも多い傾向が見られます。2

図:「SNS映え」およびそれに類する検索データの増加(日本)

図:「SNS映え」およびそれに類する検索データの増加(アメリカ)

SNS 映えする観光地の一例として、たとえば日本では京都のキモノフォレストが非常に人気を集めており、近年急激に検索ボリュームが増加しています。

図:「キモノフォレスト」の画像と検索ボリュームの増加

写真: travel.jpより

この傾向は海外でも同様で、たとえばロサンゼルスのメルローズ アベニューにある Pink Wall というフォトスポットの検索ボリュームを見てみると、キモノフォレストと同じく急激に増加しています。

図:Pink Wall の画像と検索ボリュームの増加(ロサンゼルス)

写真: staceyannloves.comより

2. スマートフォンでの調査や予約の普及

次に目立つ変化として、旅行商品の調査および予約におけるスマートフォン利用が増加していることが挙げられます。Google の調査によると、77% の日本人旅行者が、旅行の計画を立てる際、スマートフォンを使って情報を調べたことがあると答えています。3

Google 検索でも、旅行関連の検索キーワードのうち、モバイルからの検索が年率 20% も増加しています(図参照)。4

図:モバイルから検索される、旅行関連の検索キーワード

また旅行の調査だけではなく、 Sojern 社の調査によると、予約についてもモバイルからの予約は増加しています。5

3. 旅行先に到着してからの調査の普及

出発前ではなく現地に到着してから、観光スポット、レストラン、ツアーなど旅行関連サービスを調査、予約することが一般化してきました。

たとえば、英語を母国語とする観光客が日本国内で調べたと考えられる「things to do in (地名)」(意味:[地名] でおすすめのアクティビティ)などの検索キーワードは、実に年間 55% の割合で増加しています。6また、日本人が旅行先のハワイで調べたと考えられる「ハワイ おすすめ (アクティビティ)」という日本語の検索キーワードも、年率 15% の割合で増加しています7(下図参照)。

この背景としては、スマートフォンの普及に伴い、世界のどこを旅していても WiFi に接続さえできれば現地のサービスを予約できるようになったことが考えられます。日本でも海外でも、公衆無線 LANサービスの整備は進んでおり、利用者数は右肩上がりで伸びています。8

図:日本で行われている英語での「things to do in(地名) 」
(意味:[地名]でおすすめのアクティビティ)の検索ボリューム増加 

図:ハワイで行われている日本語の「ハワイ おすすめ」の検索量増加

まとめ:マーケターの視点から

上記のように、スマートフォンの登場は私たちの旅行体験を大きく変えました。今後どのようにして、これに対応すればよいのでしょうか。旅行業界のマーケターの方々に役立つ 3 つのポイントをまとめました。

  • 増加した顧客接点を考慮したマーケティング
    旅行業界のマーケターにとって、スマートフォンが普及したことで顧客が一つの予約を行うまでの接点は飛躍的に増加したといえます。たとえば現在、旅行関連のオンライン広告クリックは 70% 以上がモバイルからとなっています。9これを積極的に機会と捉え、PC、モバイルなどのチャネルをまたいだ、顧客ごと、接点ごとに最適なメッセージの作成、またそれぞれの接点を考慮した効果測定が求めらます。
  • モバイル体験への注力
    現地でのモバイル経由の予約が増えたことで、PC サイト並みの快適性を提供するモバイルサイトの構築が重要になります。Google では、マーケターの方々の取り組みを支援するため、モバイルサイト設計の指針モバイルアプリ設計の指針を公開しています。また、モバイルサイトを高速化するための AMP や、モバイルサイト上でモバイルアプリのような体験を実現する PWA などのプロジェクトも積極的に進めています。すでに EC をはじめとする業界では、モバイルでの顧客体験の改善によるコンバージョン増加などの成功事例も登場しています。
  • トレンドを意識した新たな旅行商品の企画とプロモーションの展開
    旅行者の興味を引く旅行先は素早いペースで移り変わっています。今回ご紹介したようなトレンドの一部は、Google トレンドでもご確認いただけます。マーケターにとっては、これらの変化をうまく捉え、トレンドを活かした旅行商品の企画やマーケティングを積極的に行うことがいよいよ重要になっています。

出典

  1. WTO
  2. Google データ
  3. Google Surveys、調査対象 個人用にスマートフォンを所持している 18 才以上の日本人インターネットユーザー
  4. Google データ、2017年 1 月対 2016 年 1 月比較
  5. Sojern 社調査
  6. Google データ
  7. Google データ
  8. ICT 総研Sorfrecom
  9. Google データ
豊川 祐至

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