マイクロモーメントを洗い出し、生活者の 「 夜 」 をとらえる

今回は 「 夜の検索の動き 」 に焦点を当て、人々のマイクロモーメントの現在と、それを見据えたマーケティングの成果について Google のデータと共に見ていきましょう。

モバイル端末の普及により、生活者は 「 何かをしたい 」 と思った瞬間、即座に目の前にあるデバイスで調べる、購入するという行動を起こすようになりました。この瞬間を マイクロモーメント ( Micro-Moments ) と呼んでおり、マイクロモーメントの増大を裏付けるかのように、日本におけるスマートフォンからの Google 検索ボリュームも飛躍的に伸びています。( 図1 )

図1 : スマートフォンからの Google 検索ボリューム推移 ( 2013 年 1 月を100 とした Index 表示 )

Google データ

日本人の検索行動の特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう。図2 は、1 日を時間別に区切って時間帯ごとの検索ボリュームを算出し、スマートフォンおよびパソコン / タブレットからの検索比率を示したものです。すべての時間帯においてスマートフォンからの検索ボリュームが上回っていますが、とくに 19:00 以降からは、全体の検索ボリュームもスマートフォンからの検索率も共に上昇していることがわかります。

図2 : 1 日の時間帯別検索ボリューム推移とデバイス別検索比率

Google データ

上記で見られるような生活者の検索傾向の変化が、夜の時間帯における広告機会の損失とそれに伴うビジネス機会の逸失につながる例が確認されています。逆に、この変化をうまくとらえることができれば、新たなビジネスにつなげることも可能でしょう。すでに H.I.S. の事例をご紹介していますが、この傾向と改善に向けてのアクションは、旅行業界のみにとどまりません。

一例として、不動産業界の動向をみてみましょう。住宅情報サイト 「 HOME'S 」 ( 株式会社ネクスト )では、「 賃貸 」 など検索ボリュームが大きいキーワードにおいて、22 時時点でデスクトップとモバイルの検索に 4 倍の差があることを発見しました。また、これらの検索ワードは、20 時から検索ボリュームが増加する傾向があり、このため想定以上に早く予算消化が進んでしまい、広告インプレッションの機会損失が生じていたのです。図 3 のように、広告の実インプレッション数の増加と広告のインプレッション数機会損失数は、 20 時以降に急激に高まっており、とくに 23 時台は月間広告インプレッションの機会損失数全体の 8.5% を占めていました。

図3:HOME’S の広告インプレッションの機会損失の推移

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HOME'S は、この分析に基づいて夜の時間帯の効果最大化に向けて最適化を施しました。改善前後の広告の実インプレッション数を比較してみると、20 時以降のインプレッションが伸びていることがわかります ( 図4 )。機会損失の大きかった 23 時台の広告表示数は 0.55 ポイント改善、コンバージョン( CV )数は 16% 向上し、顧客獲得単価( CPA )も 32% 軽減することができました。

図4:HOME'Sの改善前後の広告インプレッションの比較

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次に、金融業界の事例も見てみましょう。FX( 外国為替証拠金 ) 取引事業会社 の DMM.com 証券も、夜の時間帯の検索に着目して広告投資の成果を高めることができたケースです。同社のユーザーの検索行動を分析したところ、検索ボリュームの大きな 「 FX 」 などのキーワードにおいて、19 時以降に検索ボリュームが増加しており、22 時時点でモバイルからの検索がデスクトップからの検索の 2 倍となっていました。

図5:DMM.com 証券の広告インプレッションの機会損失の推移

Google データ

DMM.com 証券の広告の実インプレッション数と広告のインプレッションの機会損失数の推移を分析したところ、19 時台から機会損失数が増えてきており、とくに 22 時台、23 時台になると 4.5% もの機会損失が生まれているとわかりました ( 図5 ) 。そこで同社は、この時間帯における広告予算を徐々に増加させるという施策を実施しました。その結果、広告の実インプレッション数が大幅に改善され、広告表示の機会を最大限に活用しつつ、予算のロスを軽減することができたのです ( 図6 )。CV 数は 30% 増加、CPA も 19% 減少に至りました。

図6:DMM.com 証券の改善前後の広告インプレッションの比較

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人々のマイクロモーメントに合わせて広告を展開する。これは、あまりにも基本的な前提かもしれませんが、この基本を徹底的に踏まえることで、ビジネス機会を改善し、拡大する余地があると考えます。今回取り上げている、生活者の夜の時間帯にフォーカスした検索行動の分析と改善はあくまで一例です。ぜひ、それぞれのビジネスに合わせたマイクロモーメントの把握を進めてみてください。

廣田 良介

アナリティカル リード

Think with Google 日本 ニュースレター

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