モバイルに最適化されたユーザー体験第 2 回: どのようにモバイルに最適化されたユーザー体験を創り出すか

前回モバイルに最適化されたユーザー体験を提供することがなぜ重要かをご説明しましたが、実際には重要性が分かっていてもモバイル最適化の優先順位を下げてしまう企業も多いのが現実です。そうした現実を受けて、今回は具体的な企業事例をもとに、実際に施策に落とし込むために必要なことと、そのインパクトを検証します。

前回は、モバイルに最適化されたユーザー体験を提供することの重要性をご説明しました。そしてその実現には、現場チームが的確な現状分析と必要なアクションの洗い出しを行うと同時に、経営層がモバイルを重要な戦略課題であると認識して必要なリソースを投資し、スピーディーに意思決定することが欠かせません。モバイル施策を成功させるには、組織全体で意思を共有して取り組む必要があります。

しかし残念ながら、以下のような理由でモバイル最適化の優先順位を下げてしまう企業も多いのが実情です。

  • 具体的な施策がわからない
  • 技術的変更を加えることへの懸念
  • メンテナンス性が下がることの不安
  • 労力に見合ったメリットが不明瞭

そこで今回は、具体的な企業事例 2 つを検証しながら、モバイルに最適化したユーザー体験を提供するために必要な条件とインパクトについて考察していきます。

企業事例: エボラブルアジア

企業事例 1 社目は、オンライン旅行事業、訪日旅行事業、 IT オフショア開発事業など複数の事業を展開するエボラブルアジアです。同社の事業の 1 つ、航空券予約サイトの 「 空旅.com 」 では、モバイルからのアクセスやコンバージョン ( 航空券購入 ) が近年増加しており、こうしたユーザーの需要に対応するため、モバイルサイトの高速化とインターフェース改善に取り組みました。

主な施策としては、まずモバイルサイトの速度テストツールを使ってページを自社診断し、優先度の高い改善策の選定から着手しました。その上で、たとえばパートナー企業のロゴ等の画像の変更頻度はどのくらいが適切なのか、などといったビジネス上の判断が求められる箇所については、社長や役員など経営上層部や技術部門を交えて検討し、高速化とメンテナンス性のバランスに配慮した意思決定を行いました。

主な施策

  • ファーストビューコンテンツの最適化 ( 下記図参照 )
  • 画像の最適化
  • ブラウザキャッシュ活用によるデータ削減
  • サーバーデータの圧縮

図:ファーストビューコンテンツの最適化

その結果、「 空旅.com 」の平均ページ表示時間は 0.5 秒改善し、モバイルコンバージョン率は 14% 増加する という成果につながったのです。

企業事例: ベルーナ

2 例目は、カタログ通販で有名なベルーナの事例をご紹介します。ベルーナもまた、スマートフォンが市場に浸透してきた流れを受け、モバイルサイトを最適化する必要性を感じていました。

まずは役員や経営幹部も参加して施策の有効性を理解することから始め、プロジェクトの実行を決定しました。続いてモバイルサイト高速化専任チームを立ち上げ、必要なリソースを確保すると同時に、組織的に取り組む体制を構築しました。モバイルサイトの速度テストツールで自社のモバイルサイトを診断してアクションの優先順位を決めたあとは、半年以上かけて表示時間を 35% 削減することに成功、さらにモバイルコンバージョン率を 28% 改善しました。具体的に実施した施策は下記の通りです。

  • ブラウザキャッシュを活用
  • 静的リソースのブラウザキャッシュの期間を延長
  • 高速化と導入負荷のバランスを考慮し、優先順位の高い施策から実行
  • 既存サイトに多い機能不明な古いファイルやスクリプトを解析して取捨選択、簡素化を実施

図:ベルーナ モバイルサイト

モバイルに最適化したユーザー体験を創り出し、ビジネスを成功に導く 3 つの秘訣

これら 2 つの事例から、下記の 3 つのポイントが共通して浮かび上がってきます。

1) 必要なリソースを確保する
成功する企業は、マーケティング戦略においてモバイルサイトが重要な役割を担っていることをよく理解しており、最適化に向けて真剣に取り組んでいます。専任チームの立ち上げなど、必要なリソースを潤沢にプロジェクトに投じることが成功への第一歩であるといえます。

2) クロスファンクショナルに連携し、プロジェクトを推進
先述した 2 社とも、マーケティング部門だけでなく、開発部門など多岐にわたる部門と一体になって取り組むことで、最適なユーザー体験の創出に成功しています。ユーザーやエンジニアなど、多角的な視点から議論を重ねつつ施策の優先順位を決定・推進することにより、プロジェクトのスピードを高め、初期から効果を実感できる形で進めることができます。

3) 経営トップの理解がある
1) と 2) を行うには、トップの理解とコミットメントが必要です。経営トップが、モバイルに最適化した体験をユーザーに提供することの重要性を理解している企業は、リソースや組織を動かす決断がスムーズなので、より早く成功に近づくことができるのです。

次回からは、モバイルに最適化したユーザー体験を創り出すための最新ソリューション 「 モバイルサイト高速化技術 AMP 」 と、まるでアプリのように充実した体験をモバイルサイトで提供できる 「 PWA 」 をご紹介します。

水谷 嘉仁

シニア ソリューション エキスパート、モバイル パフォーマンス リード

Chloe Sit

パフォーマンス プロダクト エキスパート、UX/UI リード

宇都宮 佑亮

gTech Ads テクニカル プロダクト スペシャリスト

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