オンライン動画に最適な KPI を選択する方法: Google BrandLab からの提案

動画広告の成果を測る指標は視聴回数だけではありません。BrandLab のグローバル責任者として毎年何百ものブランドを支援している Kim Larson が、適切な重要業績指標(KPI)を選択するための 4 つのステップを紹介します。

Google BrandLab は、サンブルーノからシンガポールまで世界各国で 400 以上のワークショップを実施し、多数のブランド マーケティング担当者を対象に課題の把握やデジタルファーストへの取り組みをサポートしています。長年に渡るこの活動の中で、多くのマーケティング担当者から YouTube について何度も同じ質問を受けました。

「動画が成功したと言える視聴回数は?」

たしかに、視聴回数は広く用いられている評価指標ですが、特定のブランドの目標達成度を測る場合は、これが最適な指標とは限りません。BrandLab では、各ブランドの目標に合った KPI を選択するようアドバイスし、4 つのステップを通じてその過程を支援しています。ここで注目していただきたいのは、次の点です。

「動画キャンペーンの成果を明らかにするには、どの KPI を測定すればよいのか?」

では、視聴回数以外にも目を向け、動画キャンペーンを改善するための 4 つのステップを紹介しましょう。

ステップ 1: キャンペーンの主要マーケティング目標を明確にする

通常、ブランドチームがマーケティング計画を立てる際、動画広告キャンペーンに期待するのは、「ブランドの認知度を高め、購入検討を促し、最終的にオンラインまたはオフラインの売り上げにつなげる」ことです。オンライン ショッピング、口コミ、モバイル、ソーシャル メディアなど、さまざまなタッチポイントが存在する現在、ユーザーの購買プロセスはシンプルで直線的とは限りません。ほとんどのマーケティング担当者がご存じのように、ターゲット ユーザーは、「その商品やサービスをよく知らない」、「特に関心がない」、「具体的な行動を起こそうとしている」のいずれかに該当します。新しいキャンペーンやプロジェクトを実施するときは、ターゲット ユーザーが現在カスタマー ジャーニーのどの段階にあり、どのような意向を持っているかを知ることが重要です。これらを明らかにしたうえで、上記 3 つの中から優先すべきブランド目標を決定してください。

ステップ 2: そのマーケティング目標に適した KPI を選択する

マーケティング目標を決定したら、次は、キャンペーンの KPI について検討しましょう。ブランドや代理店がそれぞれのマーケティング目標に合った KPI を選択し、トラッキングできるようにするため、BrandLab では次の表を使用しています。

ステップ 3: 選択した KPI の測定に最適な動画アナリティクス ツールを選定する

優先すべき目標を決定し、その目標に合った KPI を選択したら、それをどのように測定するかを考えなければなりません。YouTube でのキャンペーンの成果を測定できる機能としては、主に次の 3 つが挙げられます。「ブランド効果測定」、「YouTube アナリティクス」、そして「AdWords のレポート」です。この他、より具体的な質問をしてユーザーの意向を調査したい場合は、Google 消費者アンケートを実施する方法もあります。

YouTube アナリティクス、Google アナリティクス、AdWords では、総再生時間、視聴完了率、クリック数などの指標を測定できます。キャンペーンの実行中に確認できるこれらの指標は、キャンペーンの成果をリアルタイムでトラッキングする際に役立ちます。ただし、視聴回数やクリック数だけでは、ユーザーの認知、検討、購入意向を把握することはできません。そこで役に立つのが、ブランド全体に対するユーザーの認知や意向を測定できる Google のブランド効果測定です。

また、Google 消費者アンケートを実施することもできます。このアンケート調査は、特定の広告キャンペーンに関するものである必要はなく、ブランドの YouTube チャンネルや広告の露出状況を調べ、ユーザーに具体的な質問を投げかけることができます。このブランド名を聞いたことがあるか、どのようなタイミングでブランドからの連絡を希望するか、どのようなデバイスを使用しているか、赤色ロゴと青色ロゴのどちらが好きかなど、どのような内容の質問でも構いません。

ステップ 4: KPI の最適化方法を決定する

KPI を選択して、その測定方法を決定した後、当然気になるのが業界や競合ブランドとの比較です。残念ながら、これはそう簡単ではありません。動画の長さ、BGM、ロゴ、起用する有名人など、クリエイティブの内容は動画広告によって大きく異なるため、同一条件のもとで比較できないのです。同様に、KPI、ターゲット ユーザー、予算も異なります。競合ブランドが目標としているのは、クリック数ではなく視聴回数の増加かもしれませんし、不特定多数のユーザーではなく、一部のユーザーのみをターゲットにしているかもしれません。さらにいえば、こちらの 2 倍の広告費を投じているケースもあるでしょう。

そのため、競合ブランドやその業界のベンチマークのみと比較するのではなく、自社の独自の基準を設定することをおすすめします。現在のキャンペーンと過去のキャンペーンを比較しながら、クリエイティブの内容、KPI、ターゲット ユーザー、予算を調整していきましょう。同じ KPI を設定した別のキャンペーンが社内にない場合は、キャンペーンのレポート機能と最適化機能を使用して、クリエイティブとターゲット層を調整することができます。たとえば、A/B テストを実行して 2 つのパターンを比較し、どちらが効果的かを調べる方法などがあります。

デジタル マーケティングの大きな利点の 1 つは、リアルタイムで最適化できることです。たとえば、キャンペーンの開始時にブランド効果測定を実施してユーザーの反応を確認し、最も効果的と思われるユーザー層にアピールできるようターゲット設定やプレースメントを調整する、といった方法で最適化が可能です。

上記のステップの実例

適切な KPI に注目したブランド キャンペーンの一例として、Tide Pod チャレンジのケースを紹介しましょう。洗濯用洗剤 Tide は、YouTube クリエイターたちと初めて大々的にコラボレーションし、Tide の YouTube チャンネルで一連の「チャレンジ」動画を配信しました。同チームの目的は、Tide Pod の洗浄力の高さをミレニアル世代のユーザーに確実に伝えることです。Tide Pod チャレンジ キャンペーンを例にとり、上記 4 つのステップの流れを見ていきましょう。

  • ステップ 1: このキャンペーンのマーケティング目標を明確にする。これらの動画を配信するにあたっての Tide の主なブランド目標は、商品を検討してもらうことでした。
  • ステップ 2: そのマーケティング目標に適した KPI を選択する。上記の表を見ると、検討を促す際に適した指標の 1 つに視聴完了率(VTR)があります。Tide は、このキャンペーンの主要指標として視聴完了率を選択し、合わせてブランド効果測定を実施しました。
  • ステップ 3: 選択した KPI の測定に最適な動画アナリティクス ツールを選定する。YouTube アナリティクスでこのキャンペーンの成果を測定したところ、視聴完了率が非常に高いことがわかりました。さらに、ブランド効果測定により、これらの動画を視聴したユーザーの多くが Tide Pod の購入を検討していることがわかりました。
  • ステップ 4: 最適化してエンゲージメントをさらに高める。Tide の 2 回目のキャンペーンでは、ターゲット層を見直すことで視聴完了率を最適化しました。具体的には、Tide のチャンネル登録者と、このチャレンジに協力した YouTube クリエイターのチャンネル登録者にターゲットを絞って一部の動画を配信。最適化した結果、Tide の以前のキャンペーンに比べて広告視聴単価(CPV)が 50% 減少しました。

Tide チームは、明確なブランド目標を定めてキャンペーンを実行しました。さらに、ブランド目標に合った KPI を YouTube アナリティクスとブランド効果測定でトラッキングし、その結果に基づいてリアルタイムで最適化することで、キャンペーンの効率と効果を高めることに成功しました。そして何より、(視聴回数だけでなく)Tide に適した目標に注目したことが大きな成功要因です。

BrandLab の目的は各ブランドの課題解決を支援することであり、キャンペーン計画の作成から、その後の成果確認まで、ブランドのキャンペーンを全面的にバックアップしています。この手法で成功した何百ものブランドの話を聞くなかで、いくつか重要なポイントがあることがわかりました。以下で、これからキャンペーンを開始する際に役立つ 3 つのヒントをご紹介します。

  1. 最初の段階から関係者全員に参加してもらう。
マーケティング計画を立てる前の最初の段階で、チームメンバーおよびパートナーの代理店と KPI を共有しましょう。KPI が異なれば、広告の内容、ターゲット ユーザー、さらには使用する広告フォーマット(スキップ可能にするか、不可能にするかなど)が変わってきます。
  • 決定事項を安易に変えない。上層部を含め、全員が特定の KPI に同意した後は、それを変えないようにしましょう。たとえば、関係者全員がシェアの拡大またはクリック数の増加を目指しているとき、たとえ最高マーケティング責任者であっても、急に方針を変えて再生回数を目標にすることはできません。
  • 成果を頻繁に確認する。時間を決めて定期的にアナリティクス レポートをチェックしましょう。KPI の達成状況を定期的に確認することで、成果が思わしくない広告を停止し、目標 KPI の達成に貢献しているコンテンツにより多くの費用を投じることができます。
  • 最初の質問に戻りましょう。「動画が成功したと言える視聴回数は?」もう、おわかりだと思います。答えは、この質問から一歩先に進み、「成功しているかどうかを判断するには、どの KPI を測定すればよいか」を考えることです。デジタル動画戦略を細かく検討し、最適な KPI と指標を選択することで、キャンペーン目標を達成するのはもちろん、商品やサービスの購入につながる最も重要な瞬間に、ターゲット ユーザーに確実にアプローチできるのです。

    Kim Larson

    Google BrandLab 責任者

    Think with Google 日本 ニュースレター

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