Google が考える、データを最大限活用したマーケティング

​機械によるデータの取得や整備、また自動化や機械学習によって、感覚ではなく根拠に裏打ちされた判断や行動がマーケティング領域において可能となってきました。これによって何が実現できるのでしょう。そして、そのための課題およびマーケターが持つべき視点やアクションとはどのようなものなのでしょう。実際にデータを最大限活用したマーケティングに取り組む IDOM の事例をご紹介します。

モバイルの登場によって、人々は「 何かをしたい 」と思った瞬間、反射的に調べる行動を起こすようになりました。これにより、情報と生活者との接点は急激に増加しました。

Google 検索で、一日に検索されている新しいキーワードの組み合わせは、5 億 1にも上ります。検索ボリューム全体の約 15% がそれまで検索されていない新しいキーワードです。また近年、日本人のメディア接触においてモバイルやスマートフォンの接触時間の割合が急激に増加しており、2006 年から2016 年までの間では、その割合が約 8 倍にも伸びています。2

このことをマーケターの視点から捉えなおしてみましょう。もちろんデータを通じて顧客との接点が増えるのは良いことですが、データがチャネルごとに分散していては、真の顧客像を把握することは困難です。事実、Google が実施した調査では、データを活用できていると認識しているマーケターは全体の 22% にとどまりました。3

Google が考える、データを最大活用したマーケティングへの必要要件

Google が考える、企業の皆さまがデータを最大活用したマーケティングを行うための 3 つの要件について説明します。

  • チャネル単位のデータから顧客単位のデータへ
    どれほど膨大なデータを持っていても、チャネルごとに分断されていては、顧客のニーズを真に理解することは不可能です。マーケティング部門の中でも、チャネルごとに異なるデータを使用してはいませんか。また企業内でも、販売、経営企画、調達部門がそれぞれ異なるデータを参照しているため、部門間で認識が相違するといったことはないでしょうか。部門間を横断し、チャネル単位のデータを顧客単位のデータとして共有することが必要です。
  • 機械学習を活用できるマーケティングプロセスへ移行する
    機械学習というと、高度で難解という印象があるかもしれません。しかしGoogle が広告領域において開発している機械学習とは、たとえば「 ターゲティングしたいユーザー 」と「 望ましい獲得コスト 」を設定するだけで、その範囲内で獲得数を最大化するよう働くといった、使いやすい仕組みです。マーケーターはビジネスゴールと必要なデータの取得・整備にフォーカスし、データ分析は機械に任せる、そしてそのためのマーケティングプロセスを整える、という意識の転換が重要になってきます。
  • マーケティング投資の評価を経営指標、つまり利益で行う
    当然の前提のようですが、これを徹底できている企業はまだ多くありません。広告の評価基準を CTR や ビューによるブランド認知または好意の測定にとどめるのではなく、データを通して実際にどの程度利益に貢献できたか可視化することが大切です。

IDOM が実現するデータドリブンマーケティング

IDOM ( 旧ガリバーインターナショナル )のビジネスモデルは、生活者から中古車を買い取りし、自社で販売するか、もしくは他の中古車業者間オークションに引き渡すというものです。従来は卸売のみを行っていましたが、近年は小売にも進出し、ガリバー以外にも、販売する中古自動車の価格帯やラインナップごとにさまざまなブランド名で展開しています。そんな IDOM のビジネスモデルですが、近年の課題として、増え続けるオンライン顧客の店舗への送客が挙げられます。

たとえば IDOM の強みである買い取りに関しては、買い取り見込みのお客様を、いかに効率よくウェブサイトから日本全国に数百とある店舗へと送客するかが課題でした。そこで、IDOM がデータを活用して行った施策を、上記で説明した 3 つの条件に当てはめてご紹介します。

  • チャネル単位から、顧客単位のデータへ
    IDOM では、カスタマージャーニーにおいてオンラインとオフラインがクロスしているため、システム間の連携が多く、結果としてデータが散在し、分析コストがかさむという問題がありました。そこでオンラインとオフラインのデータを統合し、統合済みデータを顧客単位で管理できるようにしました。

    図:IDOM が行った顧客単位のデータ統合

  • 機械学習を活用できるマーケティングプロセスへ
    まず IDOM が行ったのは、オンラインとオフラインの既存顧客データから、来店に結びつきやすい潜在顧客に対するリーチでした。オンラインでの行動履歴、自社 CRM データの店舗訪問データを元に、機械学習で来店顧客と似た行動をオンラインで行うユーザーを発掘、リーチしました。さらにオンラインでのシグナルやその後の店舗送客率の傾向から、店舗訪問の可能性の高い顧客を機械学習で割り出し、優先的なフォローアップコールの対象としました。

    図:IDOM が行った機械学習を活かした店舗訪問可能性の高い顧客へのリーチとコール

  • マーケティング投資の評価を経営指標、つまり利益で行う
    その結果、オンラインの見込み客を店舗に効率よく送客することができ、前年度比で店舗送客数は 25% 増加しました。4
    またマーケティング投資からの利益も、キーワード単位で 「 粗利 」を可視化し、最大化したことにより、あるセグメントでは前年度比で 300% も増加しました。5
         

これらの施策には組織的なメリットもありました。機械学習などにより、大量のデータを正確かつ瞬時に処理する等の作業を機械に委ねたため、これまで高いデジタルスキルを持っていながらルーチンワークに追われていた人的リソースを、店舗サービス企画など、より付加価値の高い業務に移行することができたのです。その結果、ソーシャル査定、クルマコネクト、NOREL 、クルマ売却プランナー、クルマジロといったサービスの企画を立ち上げることができました。

機械によるデータの取得や整備、また自動化や機械学習によって、感覚ではなく根拠に裏打ちされた判断や行動がマーケティング領域において可能となってきました。今回ご紹介したデータドリブンマーケティングの実現に必要な 3 つの要件を、今後のマーケティング戦略に役立てていただければと思います。

出典

  1. Google データ
  2. 博報堂メディア定点調査 2016
  3. Google Survey 調査対象 企業でマーケティング関連職種に従事していると回答した 25 才以上の日本人インターネットユーザー( n=500 )
  4. IDOM データ、2016 年度と 2017 年度比較
  5. IDOM データ、2016 年度と 2017 年度の特定セグメントにおける比較