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モバイルマーケティング第 4 回 : モバイル検索広告におけるブランディング効果への期待

マイクロモーメントの醸成におけるモバイル広告の重要性を考慮した次に把握すべきは、モバイル検索広告は、ブランド認知や好意度、購入意向などに対してどの程度影響をおよぼすかということです。モバイル広告とブランディング効果の関係を、「ゼスプリキウイ」と「明治ブルガリアヨーグルト」の検証結果をから掘り下げてみました。

一般に検索広告は、ダイレクトレスポンスを目的に活用されています。検索広告がクリックされ、ターゲット顧客を自社サイトや EC サイトなどのランディングページに誘導し、購入や資料請求、ユーザー登録などのコンバージョンに落とし込むためのものです。

ただし、検索広告を見たすべての人が、必ずしも広告をクリックするとは限りません。それでは検索広告が表示されたものの、クリックに至らなかったユーザーに対しては、広告効果が見込めないのでしょうか。

「たとえクリックされなくても、生活者のマイクロモーメントを捉えた検索広告、特に画面占有率の大きいモバイル検索広告にはブランディング効果があるのではないか?」

この仮説を検証するため、Google は検索結果ページに表示される検索広告の価値を調査しました。ここでは、調査結果とそこから得られた示唆から、検索広告の新しい価値について考えていきます。

調査設計: クリックではなく、モバイル検索広告の視認によるブランディング広告効果の検証

調査対象の広告クリエイティブは、実際のキャンペーンに使用された「ゼスプリキウイ」と「明治ブルガリアヨーグルト」の検索広告です。

ゼスプリは、高い栄養価を持つキウイを「健康に良いスーパーフルーツ」として訴求。明治ブルガリアヨーグルトのキャンペーンでは、ヨーグルトにデコレーションやトッピングをすることで「家族での食卓を楽しく素敵に飾る」イメージを訴求しました。

調査にはインテージ社のモバイル調査パネルを使いました。調査方法は、調査対象の検索広告に接触させる「テストグループ」と、接触させない「コントロールグループ」をランダムに構築するライブ実験型調査です。

調査対象者には、調査対象広告カテゴリーに関するタスクを与え、モバイルから検索を行ってもらいます。タスクとして、ゼスプリキウイの調査対象者には、「健康や美容によい食事メニューに役立つ食材を調べる」という状況で、モバイルから検索してもらいました。明治ブルガリアヨーグルトでは「健康に気遣いながら、子どもが喜ぶような彩りある家族の食卓で、楽しく食事する方法を知りたい」という検索を設定しました。

ポイントは、検索時点では「フルーツ」「キウイ」や「ヨーグルト」といった広告対象のブランドに言及していないことです。検索結果で目にする広告内で、初めてメッセージを受け取る状況を再現することで、検索広告によるカテゴリーやブランドへの効果がタスクの内容に左右されることを極力避けて調査するためです。

検索結果ページでは、テストグループの対象者のみに調査対象の検索広告を表示しました。アンケート調査では、広告表示後に起こると期待できる広告効果に対し、対象の検索広告に接触したか否かで、各 KPI を設定しています。

テストグループとコントロールグループで同じ KPI を作成し、2 つのグループに統計的に有意な差が確認できれば、検索広告を見たことによる効果として評価します。なお、この調査では検索広告に対するクリックの有無は考慮せず、検索広告を目にしたことによる広告効果に焦点を当てました。

調査結果: ブランドやキャンペーン認知、購入意向に有意に高まる

ゼスプリキウイでは「フルーツを食べたい」という気持ちが有意に高まり、ブランド認知にも同様の効果がありました。明治ブルガリアヨーグルトでは、「新しいヨーグルトの楽しみ方を提案している」というブランドイメージと “Design Your Yogurt” キャンペーンの認知が顕著に高まり、さらにブランド購入意向も有意に増加しました。

まとめ: マイクロモーメントを捉えたモバイル検索広告が、新たなマイクロモーメントを創出

これまで検索広告はクリックに特化して最適化されてきましたが、今回の調査結果から、たとえクリックされなくても、モバイルで検索したユーザーの意図に適切な情報を届けることができれば、ブランドにとって広告効果が見込めるということがわかりました。

ゼスプリキウイのケースでは、検索時点でのタスクは 「フルーツ」 や 「キウイ」 に言及していない、つまりユーザーが検索で直接知りたいテーマではなかったにもかかわらず、フルーツを食べたいという欲求が有意に高まりました。

また明治ブルガリアヨーグルトでは、”Design Your Yogurt” というブランド発信のメッセージが認知され、メッセージから生じる「新しいヨーグルトの楽しみ方を提案している」というブランドイメージも醸成されました。生活者に新しい情報という刺激を与え、ヨーグルトの新しい楽しみ方をさらに知りたいという気持ちを生み出すことに貢献できたのです。

ゼスプリキウイと明治ブルガリアヨーグルトの調査結果が意味するのは、マイクロモーメントを捉えた検索広告が、新たなマイクロモーメントを創りだしたことです。

ゼスプリキウイ:
「 健康や美容に良い食事メニューを知りたい 」→「 フルーツを食べたい 」という欲求

明治ブルガリアヨーグルト: 「 食事を楽しくする方法を知りたい 」→「 (トッピングやデコレーションで) 新しいヨーグルトの楽しみ方を知りたい」という欲求

これは、もう一つのマイクロモーメントが生まれたというだけではありません。より具体的なマイクロモーメントが新たに創出されたのです。

これがブランドにとってどう役立つのでしょう?

それは、生活者にブランド関連カテゴリーへの興味を喚起させ、そのブランドを利用するシーンを増やすことを意味します。ブランド認知や購入意向が高まり、ブランドに接触する機会が生まれるのです。たとえ検索広告がクリックされなくても、生活者の検索意図に寄り沿ったブランドからのメッセージを適切に伝えることでカテゴリー関与が強まり、結果として市場規模およびブランドシェアの拡大が期待できます。

マーケティングコミュニケーションの成功には、生活者の目線に立ち、1 つ 1 つのプロセスを丁寧に進めることが欠かせません。そのためにブランドが心がけるべきポイントをまとめてみます。

  • 生活者の 「 知りたい 」 などの意図を深く理解する。
  • 意図に対してブランドとして届けたいメッセージを明確化する。
  • メッセージを届ける方法を工夫する。